阪神・淡路大震災で失われたモノ、残されたモノ、生まれたモノ…そんな記憶を記録します。

青池 憲司 監督作品 映画『宮城からの報告—こども・学校・地域』製作委員会

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コラム・撮影報告

石巻撮影報告
12/29

年内さいごの撮影

text & photos by 青池憲司

2011.12.29  up

冬休みの宿題

石巻現地スタッフ3人は、一昨日(27日)に2学期の撮影を了え、きのうの午後、関東へもどりました。門脇小学校の6年生と2年生の兄弟へのインタヴュー、門脇町内の西光寺副住職へのインタヴューが年内さいごの撮影でした。2学期4か月の光陰は、ほんとうに矢のごとくに過ぎました。その間、教室や学校行事の撮影のほか、こども、教師、保護者、学校区の住民さん、老若男女さまざまな人たちへのインタヴューをしてきました。

多くの話を聴き、多くのことばを映像と音像に刻みました。そして、わたしはいま、ある種の飢餓状態に落ち入っています。「被災者(児)の話を聴けば聴くほど、まだ聴きたりない、まだ聴くことがあるだろう」という感覚です。おそらく、充たされることのない飢餓です。どうするか? 被災地石巻からもらった、わたしの冬休みの宿題です。

「だれもが みな もがいている」

被災9か月余、わたしのいまの石巻の印象は、「だれもが みな もがいている」です。「もがく」"絆"などというヌレ(情緒)ことばに収斂されることのない、きょうの足場の不確かさと明日のくらしの見えづらさに立ち向かう「もがき」です。

さて、石巻撮影報告、18回にわたって由無し言を書いてきました。お目汚しも、ことしはこれが最終回です。次は、年明け4日の帰石後に。

【追伸】

NHKの紅白歌合戦で、長渕剛さんが、津波と火事でやられてしまった石巻・門脇小学校校庭から生中継で歌うそうです。NHKは場所を非公開としていますが、石巻といえばここしかないでしょう。紅白歌合戦にはまったく興味はありませんが、ステージがわれらの門小なので、このシーンだけは見ようかと思います。よかったら、みなさんも。

#文中に登場する名称・データ等は、初出当時の情況に基づいています。

青池憲司

ドキュメンタリー映画監督。震災後、親交のあった長田区の野田北部・鷹取地区に入る。"野田北部を記録する会"を組織し5年間に渡りまちと住民の再生の日々を映像で記録。
「記憶のための連作『野田北部・鷹取の人びと』全14部」(1995年〜99年,山形国際ドキュメンタリー映画祭正式招待作品)を発表、国内外で上映。2002年「日本建築学会文化賞」受賞。

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