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- 仮設住宅の種類
阪神・淡路大震災仮設住宅の種類
- 志築新島団地 9坪型
(淡路島・兵庫県津名町 1996年6月)[クリックで拡大]
- 仮設住宅の種類
- ふれあいセンター設置数
- 仮設診療所設置数
- 仮設店舗設置数
- 自力仮設住宅設置数
- 標準型/9坪型/1K型/集合住宅型
- 236ヶ所
- 9ヶ所
- 2ヶ所
- 約2,500棟(神戸市内)[5]
出典元
[ALL]第三節 応急仮設住宅の建設等について『阪神・淡路大震災復興誌[第1巻]』震災復興誌編集委員会,兵庫県/21世紀ひようご創造協会,1997年
[ALL]災害への取り組み:応急仮設住宅の建設 - プレハブ倶楽部(社団法人 プレハブ建築協会)
[ALL]阪神・淡路大震災にかかる応急仮設住宅の記録/兵庫県県土整備部 - 兵庫県
[ALL]『阪神・淡路大震災の被災状況と復旧・復興の状況について』- 兵庫県
[ALL]阪神・淡路大震災−兵庫県の1年の記録 - 兵庫県知事公室消防防災課:震災文庫(神戸大学附属図書館)。PDF全文
[2]阪神・淡路大震災—神戸の生活再建・5年の記録 - 神戸市
[5]仮設住宅における生活の苦労と努力「仮設住宅の建設と生活上の問題点」/室崎益輝,「仮設住宅街における自治会活動の実状」/柴田和子『苦闘の被災生活 (阪神大震災研究2)』神戸大学〈震災研究会〉編,神戸新聞総合出版センター,1997年
解説
仮設住宅の種類 - 構造/環境
基本のタイプ(神戸市)[2]
- 標準型/2Kタイプ:和室6畳,和室4.5畳,キッチン,ユニットバス
- 1K型/1Kタイプ:和室6畳,キッチン,ユニットバス
- 集合住宅型/高齢者・障害者向け地域型仮設住宅
神戸市発注分の建設戸数[2]
- 全32,346戸 / 313団地
- 2Kタイプ - 23,423戸
- 1Kタイプ - 6,919戸
- 一般向け地域型 - 504戸
- 高齢者・障害者向け地域型 - 1,500戸
阪神・淡路大震災による仮設住宅建設の課題は、これまでに国内で前例のなかった「早期かつ大量に供給する」ことであった。そこで厚生省、建設省、兵庫県の協議により計画、設計、工期等の短縮を計るため「平屋2Kタイプのプレハブ住宅」を基本の標準タイプとすることが決定された[2]。その後、状況の要請や需要判断によりいくつかのタイプも供給された。
標準タイプ2Kタイプの他には「9坪型」があった。これは2Kと間取りはほぼ同じだったが、標準の長屋形式とは異なり2戸で1棟であることや下水が汲み取り式であるなどの点で異なっていた。9坪型は主に下水道の整備されていなかった淡路島などで利用された[4]。
第5次発注分(2月25日)からは災害弱者(要援護者)対策として、被災地域内に福祉型の住宅を建てることが厚生省より認められ、「高齢者・障害者向け地域型」仮設住宅が建てられることとなった。第8次発注分(5月31日)からは1Kタイプが追加され、そして第10次発注分(6月27日)からは、一般向けの地域型仮設住宅504戸が建てられた[2]。
2K、1K、9坪タイプはすべてが平屋建てであったが、地域型はすべてが2階建ての寮タイプである。海外メーカー製仮設住宅の場合は、広さはほぼ同じでも間取りや細かい仕様部分ではその製造国の様式に準じる形になっていた。
同じプレハブ仮設住宅といっても、最も多く建てられた「規格建築」のほかに、「応急住宅」というハウス・メーカーが本設のプレハブ住宅の仕様を簡略化したタイプあった。規格建築には「組立タイプ」と「ユニットタイプ」があったが、そのほとんどは組立タイプだった。海外メーカー製のものにはユニットタイプも見られた。
応急住宅は区画整理の際の事業用仮設などとしても利用されているもので、外装内装など様々な面で規格タイプよりしっかりした造りで居住環境も良かった[4]。これらも含めデザインや建材の仕様は全て、それぞれの会社ごとに大小の差異があった。
関連論文
- 阪神・淡路大震災における応急仮設住宅の費用算定に関する研究/児島 達也 - 神戸大学大西研究室 -建築・都市安全計画研究室『震災研究論文集』PDFでダウンロード
- 震災後の応急住宅計画に関する一考察 - 社団法人日本建築学会:『学術講演梗概集. A-2, 防火,海洋,情報システム技術 Vol.1999』CiNii PDFでダウンロード
- 神戸市の応急仮設住宅解消期における住環境管理の課題 - 長崎大学:『長崎大学工学部研究報告 Vol.29(53)』1999年。PDFでダウンロード
- 阪神淡路大震災における応急仮設住宅の提供および管理の課題/高橋和雄,中村百合,藤田高英 - 長崎大学:『長崎大学工学部研究報告Vol.29, No.52(19990100)』CiNii PDFでダウンロード
- 地震被害後の住宅振興計画における地理情報システム(GIS)の活用に関する研究 : 阪神・淡路大震災における応急仮設住宅建設の分析/川崎 昭如,佐土原 聡,村上 處直 - 社団法人日本建築学会:『学術講演梗概集. F-1Vol.Vol.2000(20000731)』CiNii PDFでダウンロード
- 阪神・淡路大震災の応急仮設住宅供給システムに関する研究 : その2 「規格建築」による応急仮設住宅の供給システム/浦谷 健一郎,牧 紀男,三浦 研,小林 正美 - 社団法人日本建築学会:『学術講演梗概集. F-1Vol.1996(19960730)』CiNii PDFでダウンロード
- 改めて仮設住宅のあり方を問う(阪神・淡路大震災における仮設住宅)(<特集>仮設住宅の生活)/室崎 益輝 - 社団法人日本建築学会:『建築雑誌Vol.115, No.1450(20000220)』CiNii PDFでダウンロード
- 大災害時の応急仮設住宅供給に関する研究 : その1 応急仮設住宅をめぐる諸問題(都市計画)/室崎益輝,大西一嘉,成尾優子 - 日本建築学会:『日本建築学会近畿支部研究報告集. 計画系 (34) 19940607』CiNii PDFでダウンロード
- 阪神・淡路大震災後の公的住宅供給による被災者の住居移動過程(災害後プロセス(2),都市計画)/越山健治 - 日本建築学会:『学術講演梗概集. F-1, 都市計画, 建築経済・住宅問題』CiNii PDFでダウンロード
- 大規模地震災害後の住宅復興システムに関する研究/北後明彦,樋口大介,越山健治,室崎益輝 - 神戸大学:『神戸大学都市安全研究センター研究報告 9 20050300』CiNii PDFでダウンロード
仮設住宅供給企業(メーカー)一覧[4]
- 〈規格建築〉大和工商リース、コマツハウス、大和ハウス工業、郡リース、東海リース、日成ビルド工業、日東工営、イワムラハウス、エヌケーホーム、大谷工業、北川鉄工所、立川ハウス工業、ニッシンハウス工業、大和システム、内藤ハウス、大興物産、オービス、丸末、日本プレハブ工業、トキワ、亜細亜通商、関西ハウス、富士産業、中谷工務店
- 〈応急住宅〉清水建設、積水ハウス、ミサワホーム、大和ハウス工業、積水化学工業、ナショナル住宅産業、ニッセキハウス、エス・バイ・エル、トヨタ自動車、クボタハウス、小林住宅産業、三井ホーム、三和ホーム、住友林業、住友不動産ホーム、佐藤組、富士重工、総新、稲場製作所
- 〈海外メーカー〉シャール・ボヴィス、アメリカン・シルバー社、キリン産業、HYOSUNG PREFAB、シェルター、ジェームズ・ハーディー、DOMG SHIN 、アラン・プレハブ・ビルディング、SRIホームズ社、 STYLEC社、アメリカン・ホーム・システム社、サンライズホーム
神戸市の建設戸数(区別・タイプ別)/住環境の改善
- 応急仮設住宅 - 神戸市:震災資料室
東日本大震災の仮設住宅
- [2011/4/3]陸前高田で仮設住宅を公開 4月中旬から最初の36戸 - 産経新聞
- [2011/4/5]陸前高田の仮設住宅、32倍の高倍率 生活向上にはつながらず、阪神とは違い「地方型災害」 - 産経新聞
参考文献
- 仮設住宅の暮らし方 : 一年間の仮設生活(阪神・淡路大震災における住まい方の記)/卜部兼慎(<特集>仮設住宅の生活) - 日本建築学会:『建築雑誌』CiNii PDF
- 『地震に強い建築 阪神大震災の教訓[復興編]』日経アーキテクチュア編/日経BP社刊 ,1995年[4]
写真
- 阪神・淡路大震災 写真から見る震災 | 仮設住宅 - 神戸災害と戦災資料館
関連論文
- 阪神・淡路大震災の応急仮設住宅供給システムに関する研究 : その1 外国製応急仮設住宅の供給システム/牧 紀男,三浦 研,小林 正美 - 社団法人日本建築学会:『学術講演梗概集. F-1Vol.1996(19960730)』CiNii PDF
- 兵庫県南部地震における応急仮設住宅の事例研究 : 各輸入仮設住宅の室内温熱環境の特徴と問題点/山口雅子,菊沢秀和,中島倫,菊沢康子 - 社団法人日本建築学会:『学術講演梗概集. E-2, 建築計画II, 住居・住宅地, 農村計画, 教育』19960730。CiNii PDF
輸入仮設住宅
- カナダ製
(神戸市西区・仮設西神第16住宅 1997年1月)
- カナダ製
(神戸市西区・仮設西神第16住宅 1997年1月)
- アメリカ製
(神戸市西区・仮設西神第15住宅 1997年1月)
プレハブ建築協会の協力により国内の全てのプレハブ生産が震災向けに当てられたが、それでも生産・建設能力の限界を超え、国内の在庫も底を尽きた。そこで第4次発注分(2月9日)からは海外メーカーにも発注され、受注した5カ国11社から輸入することになった。
【受注メーカー国:アメリカ、オーストラリア、韓国、カナダ、イギリス】
輸入仮設住宅は輸送コストが、国内に比べて航空便で5〜8倍、船便で1.5倍程要した。またその建設の際は、輸入元の会社から技術者が派遣されたもののビザの問題などもあり、実際の施工は日本の業者が中心となって行った。
国によって生活様式や配管設備など様々な点で国内メーカー製とは異なる部分があるため、そのまますぐに設置できたわけではなかった(例えば玄関、風呂がない等)。建設にあたって、ユニットバスの設置や配管の交換など様々な改良が施された。
関連リンク
- 応急仮設住宅の設置に関するガイドライン - 日本赤十字社,平成20年6月,PDF
仮設住宅の種類 - 間取り
- 標準型/2Kタイプの仮設住宅の間取り図 illustration by KITAJIMA,Yuko
6畳,4畳半,キッチン,ユニットバス
基本のタイプ・間取り[2]
- 標準型(2Kタイプ/9坪型):和室6畳,和室4.5畳,キッチン,ユニットバス
- 1K型(1Kタイプ):和室6畳,キッチン,ユニットバス
- 集合住宅型(地域型)
住戸の装備[2]
- 照明
- カーテン
- ガスコンロ
- 郵便ポスト
- 物干し台
- 電話
住戸には予め上記のような装備が設置されていた(あくまで基本セットであり市や区、また団地によって内容が異なることもあった。茶碗など生活雑貨が支給された例もある)。
トイレと風呂が一緒になった「ユニットバス」は、早期の仮設住宅建設のためには不可欠な装備であったが、高齢者にとっては初めて出会った不慣れな装備だった。体を洗う場所もなく、湯船にゆっくりと浸かることもできなかったために使わない人も多かった。
室内は収納スペースがなく、物で占領されていた。洗濯機は屋外に置かれ、台風の時などは中に水を入れておかないと飛ばされるようなこともあった。
95年春以降、県や市によってエアコン、ひさし、外灯の設置、耐風対策、ぬかるみ対策、床下排水対策などが行われたほか、緊急を要する箇所にスロープ、階段を設置するなど高齢者、障害者向けの住宅改造を行った。
関連文献
- 応急仮設住宅体制 - 内閣府:『有珠山噴火災害教訓情報資料集』応急仮設住宅の間取り図(4)(社)プレハブ建築協会『有珠山噴火仮設住宅建設の記録2000』
- 長岡市地震情報/お知らせ(応急仮設住宅の入居申込資料) - 長岡市:2004年新潟県中越地震の仮設住宅の概要
関連リンク
- 暮らしを変えた住宅部品 エピローグ 阪神・淡路大震災でも活躍した浴室ユニット - 財団法人 ベターリビング:応急仮設住宅に採用された浴室ユニットの記録
関連論文
- 阪神・淡路大震災における応急仮設住宅の改善・工夫と恒久住宅への過程に関する研究(建築経済・住宅問題)/大久保貴弘,山崎友博,馬場昌子 - 日本建築学会:『日本建築学会近畿支部研究報告集. 計画系(36) 19960703』CiNii PDFでダウンロード
- 阪神・淡路大震災の応急仮設住宅の居住性に関する研究/山戸義幸,牧紀男,三浦研,小林正美 - 日本建築学会:『学術講演梗概集. F-1, 都市計画, 建築経済・住宅問題 19960730』CiNii PDFでダウンロード
- 災害時応急仮設住宅の居住性能評価と改善提案/相田麻実子 - 慶應義塾大学SFC研究所
建設物件
建設された仮設住宅には、リース物件と買取物件があった。リース物件は建設メーカーの所有物だが、県が買い取った物件は県の財産。しかし解体後はその処分が課題となり、作業部会等での検討の結果、廃棄物としての処理が不可能であることから海外へのリサイクルの方針が確認された。
兵庫県分の物件(48,300戸)[2]
- リース物件:26,417戸
- 買取物件:21,883戸
写真
- 仮設住宅の解体・撤去 - 神戸市
- トルコ/台湾への仮設住宅輸送風景 - 神戸市
関連新聞記事
- [2004/09/05]海外再利用 8カ国、地域で住宅や学校に(神戸新聞 )
地域型仮設住宅
- 一般向け地域型仮設住宅 (長田区・南尻池公園 1999年2月)
- 一般向け地域型仮設住宅 (長田区・南尻池公園 1999年2月)
- 一般向け地域型仮設住宅 (長田区・東尻池公園 1999年8月)
- 高齢者・障害者向け地域型仮設住宅
(長田区・長楽公園 1996年5月)
- 地域型仮設住宅の間取り図 illustration by KITAJIMA,Yuko
この震災で初めて厚生省から設置を認められたのが、「高齢者・障害者向け地域型仮設住宅」(通称:地域型仮設)である。市街地域内での要援護者対策として建設されたものだ。入居は抽選ではなく、その優先度に応じて福祉事務所や保健所が判定する。二階建ての寮タイプの仮設住宅で、中央に廊下があり、トイレや風呂、炊事場などが共用で、バリアフリーが施されていた。
最も早く導入された芦屋市は、介護ヘルパーの職員が24時間常駐する「グループホームケア」型だった。一方神戸市は50室に一人の割合でLSA(生活支援員)が派遣される「生活援助員派遣」型であった。
神戸市の第10次発注分からは、既成市街地での用地有効活用の観点から、高齢者・障害者向けではない地域型仮設、「一般向け地域型仮設住宅」が建設された。地域型は4畳半か6畳の一室のみの間取りのため、単身か2人世帯向けとコンパクトな仮設住宅だったが、用地の限られる既成市街地内としては有効な活用例でもあった。
関連リンク
- 大震災で提案した「高齢者・障害者地域型仮設住宅」の実践 - 社会福祉法人きらくえん:兵庫県下の特別養護老人ホーム。多岐にわたる在宅福祉サービスを併設した総合高齢者福祉施設を運営
地域型仮設・福祉関連論文
- 阪神淡路大震災におけるケア付き仮設住宅の研究 : #4 神戸市地域型仮設住宅入居者の生活実態とその評価(震災被害&ケア付仮設住宅)/児玉 善郎,榊 泰輔 - 社団法人日本建築学会:『学術講演梗概集Vol.1998(19980730)』CiNii PDFでダウンロード
- 阪神淡路大震災におけるケア付き仮設住宅の研究 : #3 神戸市地域型仮設住宅の概要と入居者の属性(震災被害&ケア付仮設住宅)/榊 泰輔,児玉 善郎 - 社団法人日本建築学会:『学術講演梗概集Vol.1998(19980730)』CiNii PDFでダウンロード
- ケア付き仮設住宅居住者の生活実態と今後の意向に関する研究/榊 泰輔,児玉 善郎,重村 力 - 社団法人日本建築学会:『学術講演梗概集. F-1Vol.1996(19960730)』CiNii PDFでダウンロード
- 阪神大震災後のグループホームケア事業型応急仮設住宅に関する調査研究 : 建築環境・施設サービスの実態と入居者意識の分析を通して/水野史規,長野裕美,三浦研,小林正美 - 日本建築学会:『学術講演梗概集. E-1, 建築計画I, 各種建物・地域施設, 設計方法, 構法計画, 人間工学, 計画基礎 19970730』CiNii PDFでダウンロード
- 阪神大震災後のグループホームケア事業型応急仮設住宅に関する調査研究 : 建築環境・施設サービスの実態と入居者意識の分析を通して(建築計画)/水野史規,長野裕美,三浦研,小林正美 - 社団法人日本建築学会:『日本建築学会近畿支部研究報告集. 計画系(37) 19970730』CiNii PDFでダウンロード
- ケア付き仮設の経験とは何だったのか - めだかのがっこう(旧サイト) :相澤亮太郎氏。『阪神大震災研究4 大震災5年の歳月』(神戸大学〈震災研究会〉編・神戸新聞総合出版センター発行・1999)に収録
ふれあいセンター
- 住民の交流や支援の拠点となった「ふれあいセンター」。
この西神第7は団地が広大なため、2ヶ所建てられていた。
(西区 仮設西神第7住宅団地内「西ふれあいセンター」 1997年1月)
- ふれあいセンター(仮設住宅団体内)の間取り図 illustration by KITAJIMA,Yuko
ふれあい喫茶などを開催していた。
概ね50戸以上の仮設住宅団地に設置する集会所のこと。ふれあい喫茶などのコミュニティの形成や自治活動、ボランティア活動の拠点等として活用された。当初は100戸以上の団地だったが、その効果や要望が多かったために小さな団地でも可能な設置要件に緩和され、また500戸以上の団地には2カ所設置されるようになった。
センターの管理運営は仮設住宅住民、地域市民、支援ボランティアそれぞれの代表によって自主的に行われるシステムであるため、利用が活発かどうかは団地によって差が生まれることになった。
また、仮設住宅自治会とふれあいセンターの協議会が互いを兼ねて、同一の構成となっている場合も多く、役員になってしまうと、行政との交渉・住民同士の調整・苦情処理など多忙をきわめ、個人の重い負担となったり、比較的元気な自治会長など役員が恒久住宅に移ったあと、ふれあいセンターの運営が事実上できなくなっている例もあった。
生活サポート - 仮設支援
仮設住宅建設後、その住民生活のサポートのために行政や民間の様々な機関が支援を行った。ボランティアにおいては、それまで避難所支援をしていた団体が入ったり、仮設が建設された郊外の地元住民らが新たに組織を結成するなどしている。
そんな中、被災地で活動するさまざまな団体の連絡調整組織として結成されていた「阪神大震災地元NGO救援連絡会議」の中に「仮設住宅支援連絡会」という仮設支援を専門に取り組む分科会が作られる。そして1996年4月より長田区に事務所を移し、「阪神・淡路大震災『仮設』支援NGO連絡会」として活動を始めた。
"仮設支援NGO連絡会"は、その名の通り各地で活動している仮設支援のボランティア団体によるネットワークで、それぞれの地域での情報の共有や発信、サポートなどさまざまな活動を行った。機関紙『じゃりみち』バックナンバーには、各地のさまざまな様子や問題点が記録されている。
1998年、仮設が解消に向かったりNPOの活動内容にも活動終了や事業内容変更などの変化が見られる中、仮設支援NGO連絡会は「被災地NGO恊働センター 」として兵庫区に移り、現在に至っている。
関連リンク - 仮設支援
- 「阪神大震災地元NGO救援連絡会議」 資料 - 震災文庫(神戸大学附属図書館):『じゃりみち』バックナンバーも
- Weekly Needs 号外(1996.8.4発行)「祭りだワッショイ皆で遊ぼう!!」開催!1996.7.21「仮設星和台南住宅」夏祭り - すたあと長田
- 悩み・手さぐり : 阪神・淡路大震災ボランティア活動記録 : 神戸から最も離れた仮設住宅〔姫路市玉手・白浜・南駅前・御国野仮設住宅〕[Part1] - 姫路こころのケアネットワーク:震災文庫(神戸大学附属図書館)。1998
- 悩み・手さぐり : 阪神淡路大震災ボランティア活動記録 神戸から最も離れた仮設住宅『姫路市玉手・白浜・南駅前・御国野仮設住宅』 Part2 - 姫路こころのケアネットワーク:震災文庫(神戸大学附属図書館)。1999.12
住宅アンケート
- 意向調査結果 - 姫路こころのケアネットワーク:震災文庫(神戸大学附属図書館)。1995.12
- 「仮設住宅被災者」アンケート 7割なお元の街希望/第4次1元募集落選の仮設住民 供給との落差さらに/当選者も新生活不安 - 神戸新聞:980108朝刊
関連文献
- 仮設住宅のウソ p44『復興の闇・都市の非情—阪神大震災、五年の軌跡』和田芳隆,五月書房,1999年
関連リンク
- 被災地NGO恊働センター
福祉関連論文
- 応急仮設住宅と災害復興公営住宅における孤独死の実態と居住環境に関する研究(住宅の被災・復興と改修,建築経済・住宅問題)/高橋知香子,塩崎賢明,堀田祐三子 - 日本建築学会:『学術講演梗概集. F-1, 都市計画, 建築経済・住宅問題 20050731』CiNii PDFでダウンロード
- 阪神・淡路大震災から3年後の仮設住宅住民の健康と生活の実態 - 神戸市看護大学短期大学部:『神戸市看護大学短期大学部紀要Vol.18(19990304)』CiNii PDFでダウンロード
- 仮設住宅における高齢者のセルフケアの変化とその要因 - 神戸市看護大学短期大学部:『神戸市看護大学短期大学部紀要Vol.17(19980305)』CiNii PDFでダウンロード
- 仮設住宅における高齢者のセルフケア - 神戸市看護大学短期大学部:『神戸市看護大学短期大学部紀要Vol.16(19970315)』CiNii PDFでダウンロード
- 仮設住宅住民の健康と生活に関する実態調査 : 阪神・淡路大震災1年後と2年後との比較 - 神戸市看護大学短期大学部:『神戸市看護大学短期大学部紀要Vol.17(19980305)』CiNii PDFでダウンロード
- 仮設住宅住民の健康と生活に関する実態調査 : 阪神・淡路大震災1年後と2年後との比較 - 神戸市看護大学短期大学部:『神戸市看護大学短期大学部紀要Vol.17(19980305)』CiNii PDFでダウンロード
- 阪神・淡路大震災で被災した仮設住宅住民の生活と健康実態及び継続的な看護支援活動の評価 - 神戸市看護大学:『神戸市看護大学紀要Vol.3(19990331)』CiNii PDFでダウンロード
- 阪神・淡路大震災の応急仮設住宅における避難生活の諸問題(ストレス研究部会特集)/北本 裕之,宮野 道雄 - 日本生理人類学会:『日本生理人類学会誌Vol.4, No.1(19990225)』CiNii PDFでダウンロード
- 災害ストレスと生活環境との関わりに関する研究(その2) : 阪神・淡路大震災における応急仮設住宅居住者を例として/松隈 守城,室崎 益輝,大村 奈緒 - 社団法人日本建築学会:『学術講演梗概集. F-1Vol.1996(19960730)』CiNii PDFでダウンロード
- 災害ストレスと生活環境との関わりに関する研究(その1) : 阪神・淡路大震災における応急仮設住宅居住者を例として/大村 奈緒,室崎 益輝,松隈 守城 - 社団法人日本建築学会:『学術講演梗概集. F-1Vol.1996(19960730)』CiNii PDFでダウンロード
- 仮設住宅に暮らす壮年層の健康と生活に関する調査中間報告のためのまとめ - 兵庫県社会福祉協議会:震災文庫(神戸大学附属図書館)。1997.4
- 応急仮設住宅の居住関連ケア・サービスに関する研究 : 明石市仮設住宅ケアネット・システムのケーススタディ/大塚 毅彦,児玉 善郎 - 社団法人日本建築学会:『学術講演梗概集. F-1Vol.1999(19990730)』CiNii PDFでダウンロード
近年の主な災害時における建設事例
- 奥尻島での仮設住宅の再利用例
(北海道奥尻町 2005年8月)[クリックで拡大]
「雲仙・普賢岳噴火災害」(1990年11月17日噴火)
- 設置戸数 : 1,505戸(長崎県)
- 入居者数 : 1,444世帯5,669人(最大利用時1991年11月30日)
- 入居期間 : 1991年6月22日〜95年12月25日
「北海道南西沖地震」(1993年7月12日)
- 設置戸数 : 408戸(北海道/大成町,奥尻町,瀬棚町,北檜山町,島牧村)
- 入居期間 : 1993年9月3日〜1996年
「兵庫県南部地震」(1995年1月17日)
- 設置戸数 : 49,681戸(兵庫県/大阪府)
- 入居者数 : 47,911世帯(最大利用時 95年11月15日)
- 入居期間 : 1995年2月2日〜2000年1月14日
「有珠山の火山活動」(2000年3月31日噴火)
- 設置戸数 : 734戸(北海道)
- 入居者数 : 745世帯1,722人(最大利用時2000年1月17日)
- 入居期間 : 2000年5月5日〜2002年7月
「新潟県中越大震災」(2004年10月23日)
- 設置戸数 : 3,460戸(新潟県13市町村)
- 入居者数 : 2,935世帯9,649人(最大利用時2005年3月31日)
- 入居期間 : 2004年10月23日〜2007年12月31日
「能登半島地震」(2007年3月25日)
- 設置戸数 : 334戸(石川県)
- 入居者数 : 329世帯736人(最大利用時2007年6月29日)
- 入居期間 : 2007年4月30日〜2009年4月30日
「新潟県中越沖地震」(2007年7月16日)
- 設置戸数 : 1,222戸(新潟県3市町村)
- 入居者数 : 1,061世帯3,044人(最大利用時2007年10月31日)
- 入居期間 : 2007年8月13日〜2009年9月14日
参考文献
- 『雲仙・普賢岳噴火災害を体験して 被災者からの報告』特定非営利活動法人島原普賢会,2000年
- 北海道南西沖地震教訓情報資料集 - 内閣府
- 有珠山噴火災害 - 内閣府防災情報のページ
- 『平成12年(2000年)鳥取県西部地震について』平成12年12月27日,国土庁
- 『阪神・淡路大震災復興誌[第5巻]1999年度版』震災復興誌編集委員会,(財)阪神・淡路大震災記念協会,2001年
- 『平成19年能登半島地震災害記録誌』 - 平成21年3月25日,石川県
- 新潟県中越大震災にかかる応急仮設住宅入居者状況(平成19年12月31日現在) - 新潟県震災復興支援課
- 厚生労働省:新潟県中越沖地震の被害状況及び対応について(第29報)
関連論文
- 阪神・淡路大震災後の応急仮設住宅の供給と建設過程の比較研究/狩谷のぞみ,村尾修 - 地域安全学会:『地域安全学会論文集(5)20031100』CiNii PDFでダウンロード
- 災害事例ごとの応急仮設住宅の建設過程の比較(国内の災害復興調査研究,都市計画)/狩谷のぞみ,村尾修 - 日本建築学会:『学術講演梗概集. F-1, 都市計画, 建築経済・住宅問題20030730』CiNii PDFでダウンロード
自力仮設住宅
- 倒壊家屋敷地に建てられたコンテナハウス
(長田区 1996年1月)[クリックで拡大]
一般が公的な支援を得ることなく、自らの土地にプレハブやコンテナなどで建てたものを「自力仮設住宅」といい、神戸市内だけでも約2,500棟が建設されたという[5]。災害救助法は現物給付の考え方であり、自力仮設への支援は「個人補償」につながるということで、県からの要望にも国からは認められなかった[2]。これは後々、既成市街地にある居住地が復興区画整理地区となった人たちが地元に戻れず(建てられない)離散したことによって、街に人がいなくなり、地域経済やコミュニティを維持できなくなったり、まちづくりの話し合いに困難をもたらす等の一因になった。
2009年4月時点の調査では、まだ100ヶ所以上の自力仮設が確認されている[6]。
参考文献
- 仮設住宅における生活の苦労と努力「仮設住宅の建設と生活上の問題点」/室崎益輝,「仮設住宅街における自治会活動の実状」/柴田和子『苦闘の被災生活 (阪神大震災研究2)』神戸大学〈震災研究会〉編,神戸新聞総合出版センター,1997年[5]
関連新聞記事
- [2010/01/17]阪神大震災で建物倒壊跡地 5年前とほぼ同じ(産經新聞大阪本社)[6]
- [2010/01/16]問い直す 復興15年 第3部 住まう(5)仮設住宅地元で再出発 進む改善(神戸新聞)
- [2004/09/05]神戸大工学部教授 塩崎賢明氏 自力建設への支援が必要(神戸新聞 )
- [1997/2/19]復興へ 第14部 分権を問う/被災地 7つの疑問 第1問 なぜ自分の土地に仮設ができなかったのか/「私財への補助できぬ」(神戸新聞 )
関連論文
- 震災後10年間の自力仮設住宅の継続・消滅状況 : 阪神・淡路大震災における自力仮設住宅に関する研究(その5) - 日本建築学会:『日本建築学会計画系論文集 No.603(20060530)』CiNii PDF
- 自力仮設住宅の経年的変化と住宅復興における位置 : 阪神・淡路大震災における自力仮設住宅に関する研究(その4)/塩崎 賢明, 矢田 博美, 原田 賢使 - 日本建築学会:『日本建築学会計画系論文集No.587(20050130)』CiNii PDF
- 自力仮設住宅から恒久住宅への移行プロセス : 阪神・淡路大震災における自力仮設住宅に関する研究(その3)/塩崎 賢明, 矢田 博美,原田 賢使 - 日本建築学会:『日本建築学会計画系論文集No.549(20011130)』CiNii PDF
- 被災地における自力仮設住宅の居住者属性とその居住実態: 阪神・淡路大震災における自力仮設住宅に関する研究(その2)/塩崎 賢明, 矢田 博美,原田 賢使 - 日本建築学会:『日本建築学会計画系論文集No.538(20001230)』CiNii PDF
- 被災地における自力仮設住宅の建設実態 : 阪神・淡路大震災における自力仮設住宅に関する研究(その1) - 日本建築学会:『日本建築学会計画系論文集 No.519(19990530)』CiNii PDF
- 阪神大震災・被災市街地における自力仮設住宅に関する研究 : 恒久住宅への移行プロセスに着目して/矢田 博美,塩崎 賢明 - 日本建築学会:『日本建築学会計画系論文集Vol.1999(19990730)』CiNii PDF