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東日本大震災震災がれき

  • ほとんどの情報は確定値ではなく、日々更新され発表されています。最新の正確なデータは、各出典元の機関・リンク先で確認下さい。
廃棄物置き場
20mほどの高さにうずたかく積まれたままの震災がれき仮置き場
(宮城県石巻市 2011年11月17日) Photo:青池組
  • 災害廃棄物発生量
  •  
  • 2,673万トン(京都大学)[21]
  • 2,272万6,000トン(環境省)[96]

    出典元

[96]東日本大震災復興対策本部,内閣,2011年

[73]平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について,緊急災害対策本部(政府),2011年8月23日

[16]平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の被害状況と警察措置,警察庁緊急災害警備本部,2011年8月28日

[23]平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)(第137報),総務省消防庁災害対策本部,2011年8月25日

[21]東北地方太平洋沖地震における津波廃棄物発生量の推定結果について,廃棄物資源循環学会災害廃棄物対策・復興タスクチーム,2011年3月31日平山修久京都大学准教授推定

[27]東日本大震災について〜東北地方太平洋沖地震の被害と対応〜,農林水産省,2011年5月6日

[40]海上保安庁の「東日本大震災」への対応,海上保安庁,2011年5月16日

[45]被災車両は41万台規模に〜本紙試算,日刊自動車新聞,2011年4月19日

解説

    災害廃棄物(震災がれき)  Disaster Waste

廃棄物仮置き場
廃棄物仮置き場 (宮城県南三陸町 2011年8月7日) Photo:まち・コミュニケーション
コンクリート破片の災害廃棄物置き場(岩手県陸前高田市
コンクリート破片の災害廃棄物置き場
(岩手県陸前高田市 2011年7月17日) [クリックで拡大]
災害廃棄物とは

災害廃棄物とは、地震や津波による震災や台風や豪雨による水害によって発生した廃棄物のこと。天災によって、それまで日常生活の中にあった住居や車両、生活用品などが破損され、廃棄物となったものである。種類は、建物のがれきや木片、コンクリート、自動車や船舶などの各種金属、ゴム、プラスチックなど様々である。広義には、土石流や洪水、津波によって運ばれた土砂や山林、ヘドロや、液状化現象によって噴出した土砂も含まれる。

災害廃棄物についての呼称は、他にも震災がれき、震災ごみ、震災廃棄物、災害ごみ、津波廃棄物、津波がれき、津波漂流物、津波堆積物、Tsunami Debris、Disaster Wasteなどとも記される。

災害廃棄物・処理費用

菅内閣は、最終的な震災に伴う廃棄処理費用が6,800億円程度との推計を閣議決定した(朝日新聞 2011/05/20)。

災害廃棄物・推計発生量

2,673万t:京都大学平山修久准教授が被災地域5県の津波廃棄物を推計した。津波浸水図を同定の上、津波被災世帯数を推定。そして浸水エリア内の世帯は全壊とみなしてその発生量を算出した。

この推計は津波被害による廃棄物発生量であり、地震による内陸部の被害は含まれていない。また建築構造物のみで、土砂や山林、船、車輌などは含まれていない。

  • 県別・震災廃棄物推計量 

  • 青森県 : 8万t
  • 岩手県 : 550万t
  • 宮城県 : 1,429万t
  • 福島県 : 229万t
  • 茨城県 : 457万t

2,490万t:環境省が衛星画像と地図をもとに、災害廃棄物の量を算出した。

この総量は阪神大震災の1.7倍だという。だがこれは建築構造物のみの量で土砂、ヘドロや船、車輌などは含まれず、範囲でも東北3県以外の青森県、茨城県、千葉県などの被災地は含まれていない。

  • 県別・震災廃棄物推計量 (環境省 2011/4/5)

  • 岩手県 : 600万t
  • 宮城県 : 1,600万t
  • 福島県 : 290万t

2,272万6,000t:環境省は、内閣に設置されている東日本大震災復興対策本部を通じて、毎週、東北三県の沿岸市町村の災害廃棄物処理状況を発表している。

  • 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況 (環境省 2011/9/15)

  • がれき推計量 (千t) : 22,726
  • うち家屋等 (千t) : 9,492
  • 仮置場設置数 : 317
  • 仮置場面積 : 825
  • 搬入済量 : 12,460
  • 撤去率 : 87%
  • 達成進捗状況 : 55%
  • 県別・震災廃棄物推計量(千t) (環境省 2011/9/15)

  • 岩手県 : 4,755
  • 宮城県 : 15,691
  • 福島県 : 2,280
  • 3県合計 : 22,726

宮城県内:約1,550万t〜1,820万t:宮城県試算

この総量は、阪神・淡路大震災において兵庫県内で発生した災害廃棄物の総量や、県内で1年間に排出される一般ゴミの総量23年分に匹敵する。またここには鉄道、堤防・防波堤、橋梁、工場内機械等は含まれない為、この推計から大きく増えることも想定されるという。

栃木県内:約13万6千t:栃木県環境森林部集計(県議会臨時会代表質問知事答弁)

栃木県内では、全27市町でがれきが発生した。その量は宇都宮市の可燃ごみ1年分に匹敵するほどだという(下野新聞 2011/05/18)。県内では建築建材として一般的な大谷石の廃棄物などは、現在閉鎖されている大谷石採石場跡の地下空間に埋め戻すことなども検討されているという。

    災害廃棄物(震災がれき)の懸念/火災・衛生

廃棄物置き場の上
敷地が無いからと余り高く積むと、メタンガスが発生して火災の原因になる。
そのためにガス抜きの為のパイプが刺さっている
(宮城県石巻市 2011年11月17日) Photo:青池組

災害廃棄物の処理が進まず山積みで放置されたままでいると、廃棄物の仮置き場やその周辺に大きな悪影響を及ぼす。

高く積まれた山からメタンガスが発生し、火災が発生した。

また津波で流れ出た水産物によりコバエやハエなどが大量に発生した。

    災害廃棄物(震災がれき)の広域処理政策

廃棄物置き場
廃棄物置き場
(宮城県石巻市 2011年7月20日) [クリックで拡大]

岩手県、宮城県で発生した災害廃棄物(震災がれき)の量は、一般廃棄物年間排出量の数十年分に相当するという。被災自治体内ではその処理が進まず、復興を妨げる要因となっている。このため国は広域処理を進める意向を示している。

しかし福島第一原発事故に伴う水素爆発で飛散した放射能に汚染されているのではないかという非被災地の住民不安により、全国各地で受け入れ拒否の住民反対運動が巻き起こっている。

災害廃棄物広域処理 FAQ
  • 関連リンク・震災がれき Q&A/河野太郎

  • [2012/02/08]震災がれき Q&A その1 - 河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり:自由民主党衆議院議員
  • [2012/03/09]震災がれき Q&A その2 - 河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり:自由民主党衆議院議員
  • [2012/03/14]震災がれき Q&A その3 - 河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり:自由民主党衆議院議員

    災害廃棄物(震災がれき)の受け入れ拒否問題

廃棄物置き場
うずたかく積まれたままの震災がれきの仮置き場
(宮城県石巻市 2011年7月21日) [クリックで拡大]

広域処理を依頼している岩手県、宮城県の災害廃棄物(震災がれき)は「放射能汚染がれき」ではなく、放射能検査を行い安全を確認した震災がれきである。しかし一般の住民の中には、東日本大震災後の原発事故や汚染食品流通などの政府の後手後手に回った対応の印象から導かれた印象で、政府や行政の発表には疑心暗鬼で信用できないという感情を抱いている者もいる。

このため地域住民の過敏な反応を受け、廃棄物の受け入れを明確に拒否している自治体は多い。非被災地の住民や自治体による、被災地に対しての広域処理への不信感や非協力の姿勢は、リスクをシリアスに受け止める予防原則の心理としては考え得ることでもある。

しかし「がれき=放射能」ではない。広域処理を依頼する災害廃棄物の放射能検査でも、基準を超える高い値が検出された事例は現時点でもない。今も被災地では山と積まれている震災がれきのすぐ横で、被災者は生活を送り、復興に携わる工事作業者やボランティアや農業・漁業関係者が、普通に懸命な作業を続けている。岩手県、宮城県の被災地は、放射能の汚染地域ではない。

国と行政は廃棄物の放射能測定や管理と対策、科学的な正しい調査と情報開示、住民とのリスク・コミュニケーションを丁寧に行っていかなければならない。

「がれき=放射能」風評、被災地への差別

一方で、蔓延している風評の不都合な部分だけを真に受け、リスク・コミュニケーションすら拒否する地方公共団体や市民による強硬な震災廃棄物広域処理反対の運動がある。非被災地の反/脱原発の市民運動が次第に変容し、反震災廃棄物広域処理と結び付けられて政治運動化の様相を呈している。

しかしこうした一部の動きは、もはや反原発・脱原発運動や非核、放射能汚染、環境運動から逸脱し変容した全く別のもので、市民運動ですらない。またその一部の活動家の中には、被災地や被災者・避難者に対しての偏見や差別、デマ・流言飛語を助長するような発言や動きも確認されている。

自らのリスク"だけ"を回避しようとするその実態とは、リスク・コミュニケーションとは異なる単なる感情論で、「がれき=放射能」という不要な風評を広めることに荷担しているに過ぎない。それは被災地を支援の輪から切り捨て、他者(被災者)へ風評リスクを押しつけることである。これは単なる被災地に対する「集団的差別」でしかなく、被災地や被災者・避難者に対しての視点はまったくない。

国、行政への不信や根拠のない放射能"風評"による不安から導かれる感情論は、被災地や被災者への差別を肯定する言い訳にはならない。

根底には過剰な安全への強迫観念と「放射能=ケガレ」の発想

精神科医・斎藤環氏は、一部市民による災害廃棄物広域処理受け入れの拒否反応について、その原因になったのは「原発事故以来の政府への強い不信感」であり、「あきらかに日本政府が自治体や住民とのリスクコミュニケーションに失敗したために引き起こされた事態」であると指摘する。

しかしその拒否反応という過剰な「安全」への強迫観念について、その根底に「放射能=ケガレ」の発想という可能性があるとし、事態のその後についてを予測する。

おそらくがれきを受け入れる自治体は少しずつ増えていくだろう。そうした自治体が一定数を超えれば、ケガレ意識に基づく拒否反応も急速に減っていくはずだ。受け入れ反対の立場には科学的根拠がない上に、しばしば少数派ですらある。戦後の日本の政策において、ケガレ意識が科学を圧倒したケースとしては「らい予防法」くらいしか思いつかない。今後もがれきの移動と処理は、粛々と進められることになるだろう。

しかし広域処理が進んだとしても問題は解決しないという。過剰な安全への強迫観念は落ち着きよりもむしろその増大をもたらし、「長期化することで、相互信頼が掘り崩され、猜疑心の種がまかれ、意思疎通が難しくなる」からだ。そして今後「受け入れる自治体側の被害者意識や、受け入れてもらう被災地の側の負い目」という双方の市民へのトラウマとリスクを懸念している。

#毎日新聞 2012/1/22[k5]、2/26[k6]

一方、福島県内にある福島第一原発内や除洗土壌や震災がれきなどの「放射能汚染がれき」は、同県内での30年間の中間貯蔵後には、県外に移動させての最終処分を行うことが国により説明されている。

【※当サイトは、以下リンク先の見解・思想を支持するものではありません】

    放射能汚染がれき

今回の東日本大震災においては、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質によって汚染された災害廃棄物や、その除染に伴って発生した廃棄物や除去土壌なども膨大に発生している。この「放射能汚染がれき」などと呼ばれる廃棄物も、広義の意味では東日本大震災の災害廃棄物であるが、この項では特に取り上げない。

一方、福島県内にある福島第一原発内や除洗土壌や震災がれきなどの「放射能汚染がれき」は、同県内での30年間の中間貯蔵後には、県外に移動させての最終処分を行うことが国により説明されている。

除染による放射能汚染がれき/土壌量(試算)

環境省が発表した「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質による環境汚染の対処に おいて必要な中間貯蔵施設等の基本的考え方について」(2011年10月29日)の中において、除染に伴って生じる除去土壌等の廃棄物量を以下のように試算している。「放射性物質汚染対処特措法

  • 除染・除去土壌量及び廃棄物(焼却後)量の試算 

  • 発生量が少ないケース(現実的試算)福島県 : 1500万立方メートル
  • 発生量が少ないケース(現実的試算)その他 : 140万立方メートル
  • 発生量が多いケース(理想的試算)福島県 : 2800万立方メートル
  • 発生量が多いケース(理想的試算)その他 : 1300万立方メートル
  • 関連記事・放射能汚染がれき

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  • [2011/10/05]放射性物質と土壌問題の現場(3)福島県大玉村・放射性物質除染実証現場編(下)—放射性セシウム回収率は99.2% 管理土砂の減容化へ手応え - 環境新聞
  • [2011/10/11]除染ごみ、汚染がれきはどこへ? 福島県に募るいら立ち - 産經新聞東京本社
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