阪神・淡路大震災で失われたモノ、残されたモノ、生まれたモノ…そんな記憶を記録します。

青池 憲司 監督作品 映画『宮城からの報告—こども・学校・地域』製作委員会

  1. Home
  2. 活動団体
  3. 映画 HOME
  4. コラム Top
  5. 連載「さまざまな震後」
青池憲司コラムさまざまな震後2013

第3回「門脇小学校の(旧)校舎は?」

text by 青池憲司

2014.7.30  up

この地に住まわれてからの来し方行く末

2014夏 (石巻)
門脇小学校とロケ車輌「のだきた号」 (宮城県石巻市 2014年8月1日)

ことしの3月11日からあらたに撮影をはじめた「まねきコミュニティ」は門脇町2丁目〜4丁目の住民さん23世帯60人のあつまりです。その23世帯すべてにインタヴュー撮影をしようと計画し、今回のロケでは3家庭6人の方にお話をうかがいました。あの日のことはいうまでもありませんが、いま、それ以上にわたしたちが関心をもっているのは、みなさんがこの地に住まわれてからの来し方行く末です。3月11日をはさんでの暮しの変化のみならず、世に住む日日を語っていただくインタヴューをめざしています。今回の話者のうち3人は米寿を迎えた方。語りは無碍自在に時空を飛び交います。

津波と火災の被害に遭った門脇小学校の(旧)校舎をどうするのか。門脇町、南浜町、雲雀野、日和が丘など(旧)校区の住民と市民の意見は、(アンケートによると)ほぼ二つに分かれています。解体撤去して跡地を有効利用する。震災遺構として後世に津波被害の様相を伝え継ぐ。

「石巻市震災伝承検討委員会」は7月24日、4回目の会合を開き、門脇小校舎について震災遺構として価値が高く「津波火災を語る県内唯一の施設」「惨状を知る空間があることは大事なこと」などと保存を支持する見解をだしました。

これにたいして、地元の4町内会(門脇町2丁目〜5丁目の震災前の自治会)でつくる住民組織「門脇町復興街づくり協議会」は、学校周辺は土地区画整理事業が進められ、「新たなまちづくりにそぐわない」と解体を求めています。協議会は昨年9月から、門脇小の解体を前提に居住地域にふさわしい跡地の利用を市に要望。ことし6月にも検討委員会と意見交換し、早期解体などを求めた矢先だけに反発は大きいものがあります。「市は門脇小の遺構化に関するアンケートを何度か実施している。最も重視してほしいのは、これから門脇町で暮す住民の意向です」。

検討委員会は遺構に関する意見を取りまとめ、12月に亀山紘市長に提言するという。

#文中に登場する名称・データ等は、初出当時の情況に基づいています。

青池憲司

ドキュメンタリー映画監督。震災後、親交のあった長田区の野田北部・鷹取地区に入る。"野田北部を記録する会"を組織し5年間に渡りまちと住民の再生の日々を映像で記録。
「記憶のための連作『野田北部・鷹取の人びと』全14部」(1995年〜99年,山形国際ドキュメンタリー映画祭正式招待作品)を発表、国内外で上映。2002年「日本建築学会文化賞」受賞。

WEBサイト

bottom