◉震災発レポート
国府多賀城駅前仮設
〜東日本大震災の光景〜
宮城県多賀城市・国府多賀城駅南地区応急仮設住宅 ◉ 2011年7月24日
東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)
text & photos by kin
2011.8.26 up
一等地に建つ仮設住宅
JR東北本線で10年前に出来たばかりの国府多賀城駅前に、「国府多賀城駅南地区応急仮設住宅(54戸)」がある。本当に駅前で、徒歩0分。しかも大型スーパーやホームセンターも道を渡った所すぐの所にあり、生活の便はとても良い。すぐ横は東北歴史博物館やタワーマンションが建ち並ぶ新興住宅地であり、閑静な文教地区といった趣きだ。ここまで地の利が良い団地も、多賀城市内でもここだけだという。
駅前の団地入口に集会所があり、不定期でいろいろなボランティア団体が訪れて活動をしている。またこの多賀城市の仮設住宅の特徴として大きいのは、仮設住宅団地の保守・警備などの管理全般を大手の寮運営メンテナンス会社に委託している点である。集会所には複数の管理人が常駐しており、ボランティアなどの外部との渉外、受け入れの窓口になったり、見回りをしながらの警備、安否確認などを担っている。従来の災害被災地での仮設住宅管理では、専門のメンテナンス会社が常駐しての管理が行われていたという例は聞いたことがなかった。
福祉仮設住宅においての生活支援員が常駐の例や、支援ボランティアやNPOが定期的に入っていた例はこれまでもある。また警備会社による巡回などは常にあった。しかし現在でも東日本大震災被災地の他の県、市の仮設住宅では、集会所はあってもそもそも常に鍵が閉まっていたり、仮設住宅団地の自治会すら組織されておらず住民が孤立していたりという話ばかりが聞こえてくる。
こうして専門のメンテナンス会社に管理を委託しているという例は、他にもあるのかもしれないが、まだこれ以外では知らない。しかもこの仮設住宅は、54戸と小さい場所なのだ。ここは都市部だから可能だったのかも知れないが、三陸沿岸の過疎部においても、住民の自治に頼るだけではなく、こうして管理そのものにも目を配って欲しいと思う。
#文中に登場する名称・データ等は、初出当時の情況に基づいています。
◉データ
国府多賀城駅南地区応急仮設住宅
所在地:宮城県多賀城市城南1丁目
発注:第3次
着工日:2011年4月15日
完成日:2011年5月20日
入居日:2011年5月28日
戸数:54戸
- 応急仮設住宅 - 多賀城市