"ITALIANS FOR TOHOKU"
〜在日イタリア人によって続けられる、
息の長い支援活動
東京都千代田区・イタリア文化会館 アニェッリホール
◉ 2011年6月29日
『放射能という“津波”』出版記念会場
photos & text by kin
2011.7.6 up
ITALIANS FOR TOHOKU
この出版記念シンポジウムの会場入り口では、"ITALIANS FOR TOHOKU"という団体が活動の紹介と募金活動を行っていた(イタリアなのに英語だが)。珍しいなと思い眺めていたところ、活動を紹介してくれた。幸い説明をしてくれたベロニカさんというイタリア人女性が在日十数年の日本語が堪能な方だったこともあり、いろいろと話を聞くことができた。
この団体は主に、在日イタリア商工会議所が窓口となったもので、日本在住の大使館やリストランテ関係のイタリア人が中心となって組織された震災支援のための集まりだという。震災以来、すでに数回ほど岩手県の陸前高田市に赴いて、数百食のイタリア料理の炊き出しを行ったり、そこで聞いて要望のあった物資を運んだりしているのだという。
今、このブースではその活動資金にするための募金活動としてチャリティバッヂを販売したり、メッセージカードへの記帳や、食器の提供を呼びかけたりしているのだそうだ。
こうした交流は、陸前高田の方たちもとても喜んでくれているという。このような外国人による活動は本当に嬉しいことで、アメリカやフランスの料理人たちによる炊き出しはマスメディアでも取り上げられていたし、JICAが窓口になっていた東南アジアなどからの人たちによるボランティア活動も知っている。しかしこのイタリア人の方たちによる活動は、ここに来て初めて知った。
後からこの会場となったイタリア文化会館に関係するイタリア人や日本人の関係者にも聞いてみたが、こうしたイタリアのコミュニティの中でも、せっかくの活動が知られていないのは残念なことだった。ベロニカさんによると数社からの取材は受けたが、全国的なメディアの取材はされていないという。こうした活動が広く知られることで、イタリア人の方からも支援を受けているということが陸前高田以外の地域の日本人の間にも認識でき、相互の理解と交流もより深まるだろう。また活動のための支援や募金への協力も得ることができる。しかし、そもそもこうした対外向けの広報ブースを設けたのも今回が初めてだという。
現状はFacebookのページは立ち上げているがイタリア語であり、主に在日イタリア人コミュニティ向け。日本語のブログでも立ち上げれば良いのにと思うが、メンバーのほとんどがイタリア料理人であり、そのような広報活動の時間がなかなか取れないことや、ベロニカさんのように日本語が堪能な人が他にいないことなどがあるという。
話を聞いてみると、それは単発の活動に留まらない、じっくりと地域に根ざした活動だった。これからまた陸前高田に通い、仮設住宅に移った人たちに向けて食器を配布するのだという。イタリアからも、こうして民間レベルでは人知れず温かい支援の輪があった。
#文中に登場する名称・データ等は、初出当時の情況に基づいています。
- Italians For Tohoku - Facebook
- 東北復興支援 在日イタリア人の会 - 在日イタリア商工会議所 (Camera di Commercio Italiana in Giappone)
- 東日本大震災復興支援に関する当社の活動 - (株)エムエスジャパンサービス
- [2011/05/09]【陸前高田】イタリア人が本格料理 避難者に振る舞う - 岩手日報
- [2011/05/17]Italians join forces to aid tsunami-ravaged city in Iwate - Japan Times (共同通信)
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Pio D'Emilia
Manifestolibri