◉レポート
秋田県でも、被災者を受け入れへ
秋田県藤里町 ◉ 2011年3月19日
東日本大震災
text by 新川泰道
2011.3.19 up
- 【資料】白神山地の麓に位置する藤里町 (秋田県藤里町 藤里町役場 2005年8月)
【編集註】阪神・淡路大震災ではボランティアとして活動した新川泰道さん。その後、地元秋田県北部の藤里町で寺院の住職を勤めながら、地域活動や自殺予防を目的とするビハーラ(心といのちを考える会)の活動などにも携わっています。その氏による東北地方太平洋沖地震関連の活動の様子をメーリングリストより転載してご紹介します。
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秋田北部の街に被災者家族が避難
秋田県内各地でも、被災者を各市町村で受け入れることになりました。今後、その数は増加することが予想されます。藤里町でも、福島県南相馬市で被災して避難された2家族が昨日(3月18日)より滞在しています。
宿泊場所の廃校になった校舎(今は自然体験学習の宿泊施設)に立ち寄りました。今日は「だまこ鍋」でおもてなしということで、準備をしている近所のおばちゃんに「何か必要なものがあったら…」と声をかけたところで、被災された二人の若者に出会いました。話を聞くと旧・原町市(現・南相馬市原町区)の方で、近所の大学同期の寺に行ったことあるよ等々の話題になり、あえて地震のことには触れずに、それとなく会話しました。
長旅で到着したばかりで疲れているだろうから、今日のところは長居は無用…と思った矢先、避難所で暮らす親戚や知人、この近所のガソリンスタンドは?といった話題になりました。後ろ髪を引かれる思いで遠い秋田に避難して、土地勘もなく心細い思いをしていることでしょう。
担当の行政職員も懸命な対応をしてくれ、地元の方々が食材の提供、 調理など尽力してくれてますが、まだ到着して間もないこととはいえ、何せ初めてのことで、情報錯綜や一部の人への負担も垣間見えます。基本的には、それぞれで地域密着型のお世話が中心になると思いますが、行政や各々の市町村単独では行き届かない点が、今後も多々あるかも知れません。
そこで、曲がりなりにも私達ビハーラ会員の中には、阪神淡路大震災以降、能登半島や中越沖地震、北秋田水害の被災地を経験しているわけだから、各市町村をまたいでビハーラ会員や寺院同士のゆるやかな連携や情報交換の中で、遠い秋田に避難されてきた方々をケアする仕組みができないかと。
以下の3点を柱に、企画を詰めてまいりたいと存じます。
【1】物資の支援
各寺院でストックされている寝具類、鍋、食器類の提供
【2】秋田と被災地をつなぐ
今なお通信や物流が不安定な被災地と、寺院同士のネットワークの中でメール・FAX等を活用して、近況報告や必要な物品を届ける支援(註:条件付ながら、佐川急便やクロネコヤマトは東北各県の業務を再開)
【3】精神的・宗教的ニーズに応えるケア
いわゆる"行茶"活動のようなコーヒーやお茶の提供と共に、茶飲み話から被災者のニーズを汲み取り、上記のケアを心がける
といった点を念頭に、被災者が「秋田に来てよかった」と思えるような、ひいては自立に向けて微力ながら支えになるような活動をできないかと。まだまだイメージの固まってない話ですが、皆様のご意見をお寄せいただきたいと思います。
[了]
#文中に登場する名称・データ等は、初出当時の情況に基づいています。
- 心といのちを考える会:秋田県藤里町で“自殺予防”を通して生きることの大切さ、この地域でより良く“生きていく”ための活動を行う